メグロの孤独日記

孤独な哲学科の大学生です。

持って帰ってください

夏の真昼間、目的もなく一人でぶらぶらしていた。

 

 小さな路地に入っていくと、人が住んでいるかわからないような家の前に机が一つ置かれていた。

机の上には小さな女の子がかつて使っていただろうおままごとの道具やおもちゃが無造作に散らばっていた。

 

 今なんていらないものがあればメルカリで出品したらお金儲けできるのに、こんなところに置いて貰い手なんか現れるのだろうかと考えながら、まじまじとその並べられたおもちゃを見ていた。

 

 中にはお手玉など、昔自分も使っていたおもちゃもいくつかあって「ああ、あんなことしてよく遊んだなあ。」と幼児時代にふけっていた。

 

 ふと机をよく見てみると小さな紙切れがあった。

  

「持って帰ってください」

 

綺麗な字でこう書かれていた。

「持って帰んないよ〜」

とつっこんでおいた。

 

 まあこれも話のネタにでもなるだろうと思い写真を撮ろうとしたそのとき、

何も触ってもいないのに、置かれてあった音の出る絵本から曲が流れ始めた。

 

 愉快な音楽であったが、私はびっくり仰天してその場から一目散に逃げた。

一体なんだったのだろうか。

 

 夏の暑さで絵本がバカになってしまったのか。

はたまた「写真を撮るな」と、見えざる何かからのメッセージだったのか。

 

 

 真相は闇の中である。

 

 ......。

 

 たいした話ではないが、夏なのでホラーっぽく書いてみた。

多分おばけじゃない、風か何かに反応してしまっただけだろう。