メグロの孤独日記

孤独な哲学科の大学生です。

香水が思い出させる

今日も飲食店のホールでアルバイトをしていたら、女性客が仲良く3人ご来店された。

 

 私の前を通っていく。

 

 その瞬間、私の鼻に違和感を覚えた。

ここは書道教室では?と思うくらい墨汁の香りがあたり一面に広がった。

 

 つまり墨汁の香りがする香水をつけた女性がこの3人のなかにいるということだ。

 

マスク越しに香るということは割と強い香水であるであることがうかがえる。

 

 ただ私は墨汁の匂いが好きなので、別に眉間にしわを寄せるほどではなかった。

 

 墨汁、習字、といえば小学生の頃を思い出す。

 

 私は習字の授業が好きではなかった。

 

 上手く字が書けないからという訳ではなく、書くための準備と片付けが億劫に感じるためである。

 

 墨をすってもすっても黒くならない汁。

どんなに力強く書いても、いつも自分の字だけ灰色だった。ひ弱な腕力に落ち込む。

 

 筆を水で洗う際、洗っても洗っても綺麗にならない筆。

休み時間になってみんなが遊びに行っても、完璧に洗い流したい私はいつまでたっても流し台に立っていた。

しまいには先生に呆れられる始末。

 

 字を書くだけなのになぜこんなに面倒に思わなければならないのか。

 

 しかし、過程を大事にする日本文化、これもまた「美」ということなのかと考えさせられる。

 

 書道の「美」を理解した今、もっと自分の美意識を向上させるべきだと思った。

 

 アルバイト中、ふとそんなことを思いだしていた。